最近、これに関する論文が多い。

この分野は未だに、科学、医学というよりアート的な領域である。

つまり、担当する医師、助産師の経験、考えによって、随分差が出るといえる。

でも。データを重視するべきなので、比較的信頼できる論文、発表(無作為抽出試験による研究)を取り上げると、


Dannecker  et al. Acta Obstet Gynecol Scand. 2004;83(4)’364-368

初産の会陰切開率は、児がこれ以上は胎児心拍数モニタリング上、もう待てないとか、早く娩出しなければいけないと判断した場合のみに施行した時、41%であった。それに対し、このまま自然に分娩したら大きく裂けそうであるからと判断した時にも会陰切開を入れると、なんと会陰切開率は77%に跳ね上がる。

では、会陰切開を入れなかった時に、何%の人は無傷なのであろうか?そう、切開を入れなくも、ある程度は裂けてしまうのは仕方ない。前者で29%は無傷、後者で約10%の人は無傷で済んでいる。

何を言いたいかというと、分娩担当者が、会陰切開を少し制限するつもりで分娩に望めば切開率を77%から41%に減少させることができる。また、無傷で済む率も10%から29%に上昇させることができたということである。

 ちなみに会陰切開を入れないと、分娩時間は約15分程度は延長してしまうことも事実であるので、胎児がこれ以上、陣痛に耐えられない場合、モニタリング上、低酸素状態の悪化を判断した時は、無理せずに会陰切開し速やかに分娩を終了させる必要があることも付け加えなければならない。


別の米国での発表では、会陰切開率は1979年に65.3%だったのに対し、2001年には29.2%にまで減少している。Weber et al. Obstet Gynecol 2002;100:1177-82

こういうトレンドがあることも我々産婦人科医は知っておくべきであろう。