は、大変難しいですね。


特に産科というデリケートな分野は、疾患という意識がご本人にないため、感覚的になってしまうからです。お友達はそうではなかったです、とか、自分は違ったです、とか言うことは何十万分の1の経験に過ぎず、万人に施すべき医療、処置はそういうことを対象にしているのではなく、何がまず一番目にしてあげると確率が高い治療になるか?、効率が良い処置になるのか?ということです。それがダメなら次は何か?ということです。

最近は予想以上のコメントの多さ、反響の大きさにびっくりしています。

もうこれ以上のブログでの話題提供は止めた方がいいかもしれません。事実は事実でも、ご当人にとって100%は絶対にありませんので。

そのうち、きっと行き違いによる間違いや担当医への不信感が出てくる可能性があると私は心配しています。


NYの病院に10日間勉強に行っていました。

あらためて感じたことは、医療にとって大切なことは、自分の少ない経験や技術よりも万人(多くの患者さん)になるべく当てはまる事実があれば、それを吸収して今後に活かすと言う姿勢です。

つまり、EBMです。


先日、私のいる地域の重鎮の産婦人科医の一人が未だに160人の骨盤位分娩で自分のところでは1例も亡くなった児はいないなどと自慢にも聞こえる発言をのたまっていましたが、このまま行くと、そろそろ立て続けに2例ほど亡くなる可能性を指摘できます。

2000年にLancetに発表された2100人のランダム化比較試験で、十分吟味された骨盤位分娩でも80人に1人は亡くなっていますから。20人に一人は新生児集中治療室で重篤で厳重な管理、治療が必要になっています。こういう信頼に足る事実を患者さんにお話しできるか、提供できるかが今後の良い医師の姿勢と感じます。

こういう事実の前に、例えば、あの病院は最近でも逆子には経膣分娩をしてくれるらしいからいい病院だ、きっと名医だ、とか、私の姉2人は逆子でも無事に経膣分娩したのに、などという感想は、もはや事実を覆す程のインパクトはありません。

結果的には安全な骨盤位分娩は歴史上たくさんありましたので、患者さんとの十分な話し合いが必要となるわけですが、これまたロシアン ルーレットよりはまだマシか、という感じです。

患者さんがいくら骨盤位の経膣分娩を希望しても、もはやそのリスクを受け入れられる施設、医師がいなくなってきているのが現状です。

 

それと前回のさまざまな意見ありがとうございます。母乳という話題を提供した私も良くなかったかもしれません。まだ、EBMが通用しない、あるいは、解明されていない分野ですね。医学というよりアートという分野かもしれません。


いつも遅れて申し訳ないですが、コメントいただいた方にはきちんとお返事するつもりでいます。