骨盤位はこの時期に全体の3%程度にまで自然に減少しているが、この妊婦さん達には3つの選択が考えられる。


1. 帝王切開術による分娩

2. 骨盤位外回転術で頭位に直して陣痛待ち

3. 骨盤位の経膣分娩


3つ目の骨盤位娩出術はもはや下火で、児のリスクが高く現代の産科医療には受け入れられにくいので除外。(2000年にLancet.という一流医学雑誌で26カ国の共同研究の結果が発表されたから)

よって、1つ目の選択的帝王切開か2つ目の外回転術にしぼられる。


今の日本では、1つ目の最初から帝王切開するのが最も一般的だ。

2つ目の外回転術って何かというと、超音波で、児の胎位と胎盤、羊水量などを確認しながら、医者が両手で妊婦のお腹を触りながら児の頭、背中、臀部を順に回して、頭位に戻すことである

成功率は、欧米で約60%前後、当院では40-50%ぐらいである。

経産婦で成功率はすこぶる高い。また、羊水がたっぷりしている妊婦も回しやすい。


よく他の施設で、37週以前に外回転術を施行して、「我々の外回転術は成功率がとても高い」と自慢しているところがあるが、はっきり言って、ズルである。満期前(37週未満)に成功しても、また、逆子に戻ってしまう率も低くないのである。


外回転術の成功後は、しっかり、NST(胎児心拍モニタリング)をして、児が元気であることを確認すれば、妊婦は帰宅して、自然陣痛の発来を待ち経膣分娩を目指すことができるのだ。心配なら、その場で、分娩誘発を開始しても良い。

一方、外回転術が不成功なら、その場で、帝王切開術にすればよいのである。


日本でも、近いうちにこの骨盤位外回転術という手段を希望するかどうかを患者さんに提示するのが標準になるのかもしれない。

帝王切開率を減少させることができるという意味で、外回転術は非常に有望で恩恵のある処置、技術と言えそうだ。