これは我々にとって永遠のテーマである。
シンガポールでの分娩に関する研究で、膨大な数の分娩を対象としたものがある。
10万人の経膣分娩で何人の母体が亡くなるか?
10万人中3.2人だそうだ。
では、計画された予定の帝王切開術で、10万人中何人の母体が死亡するか?
なんと10万人中2.8人とずいぶん少ない
では、帝王切開は母体にリスクとならないのか?
そうではない。緊急の帝王切開術では、10万人中なんと30人以上母体は死亡するという。
やはり、臨時の準備では、いざという時の対処が遅れる、または、それだけ母児ののリスクが高まった段階での緊急の帝王切開なのであるから、合併症の可能性も高まるのであろう。
帝王切開は、伝家の宝刀であり、児を安全に分娩させる究極の手段であるが、何らかの緊急で帝王切開となった場合には、明らかに母体の合併症は上昇すると思わなければいけない。ところが、何月何日に帝王切開します、という予定帝王切開では、母体リスクは経膣分娩と同リスクで済むということがわかった。