近年、自宅分娩や助産所でのお産が見直されている。
果たしてどうなのだろうか。
米国でもメディカルセンターの横に、医師不在の産院(助産師、看護婦のみのバーシングセンター)があった。

自宅分娩あるいは医療施設以外の場所での分娩を選択したとき、母児の危険度があがるかどうかの研究がある。

97年の自宅分娩に関するメタアナリシス(Birthという雑誌)があるが、ローリスクを厳選して自宅分娩を行ったときは、周産期死亡率や母体リスクは病院での分娩に比べて変化なく、また、医学的な介入、処置も少なく済んだというものだ。その点で母体の満足度は高いものになっている。

なんだ!これでは良いことずくめで我々産婦人科医は必要ないではないか!と思ったら、なんと、失礼なことにちょっとでも気になる妊婦は事前に病院送りになっているではないか!これがかなりの数に昇る。しかも、異常は確かに発生しているものの、すぐに基幹病院(救急体制の整った高度医療施設)に送られている。
つまり、確かな腕の専門家が、ローリスクのみを選べるかどうかが重要なのである。そして、何かあったら、すぐに救急体制で搬送できるかどうかがそれ以上に最も重要といえる。

これは、果たして日本で可能かどうか?妊婦さんと自宅分娩担当の助産師が十分話し合う必要がある。そして、助産師は本当に産科救急の怖さを十分知っているかも重要であろう。3次救急や後方支援病院と連絡を蜜にしているのならば問題ないのだが。

その上での自宅分娩ならば、当然妊婦さんはリスクを承知の上での事と思われる。もし、悲劇的なことが起こったときには、患者自身の自己責任も問われることになろう。