このことを超音波診断の際、患者さんに聞かれることが多いが、誰かが過剰にこの問題に関して妊婦の不安を煽っているのであろうかと思うくらい、心配のない現象である。

臍帯巻絡は、超音波診断装置で胎児の頸部周辺にプローべを当ててカラーフローにすると比較的見易いと思われる。

しかし、出産の時には全分娩の約25%に認められる現象で、帝王切開率や新生児予後に影響を与えない日常茶飯事のことである。

新しい患者さんの問診で、帝王切開歴のある妊婦さんの場合、前回の妊娠での帝王切開の理由を聞くと、医者から臍帯巻絡のせいで児の下降が妨げられ分娩が停止したから、と答える方も時々いらっしゃる。わけのわからない空想によるその医者独自の仮説としか言いようが無い

臍帯巻絡が無害であるという事を裏付ける研究は、欧米に最近の論文でもいろいろある。研究対象は1000人から5000人ぐらいが多く、これらの論文は信頼できるのではないだろうか。具体的論文が思い出せないので申し訳ないが、妊婦さん達の赤ちゃんへその緒首に巻きつき問題の過剰な心配は無用であることを啓蒙したいのだ。