悩んでいる。最近は、外来受診中に予定日がわかり次第ノートをみて、その月の分娩予定者が90人を超えたら分娩予約をやんわりお断りをしている。
皆さん残念そうにするので大変申し訳なく思っている。
一昨日は、なんと一日で11人生まれた。当院始まって以来の大騒動、野戦病院のようであった。
分娩監視装置もベッドも分娩台もすべて足りず、休日のスタッフまで臨時で呼び出して対処した。幸いなことに帝王切開もひとりもなく母児共に皆安全に自然分娩であった。しかし、居場所が無いのである。よって、休憩室や沐浴室、診察室の一部のスペース等、フル活用してなんとか一泊は済んだ。

ところが、無事に何事も無く生まれたある妊婦さんのご両親が、うちの娘をこんなところに居させるとは何事か!とナースに怒鳴り込んできたのである

普通のご両親(赤ちゃんの祖父、祖母)は、このことを不満に思っていても我々にまず、無事に生まれた事に関しての礼を述べるのだが、いろいろな人がいるものである。
我々も慣れたものだ。こういうクレーマーの方に対しては、あのような台詞を吐いたご自身に自嘲の念と後悔の念を抱かせる術を我々は知っている。

「ーーさん。本当におめでとうございます。よかったですね。とても混んでいてご不自由をおかけして大変申しわけございません。
たくさんの方が皆元気に生まれました。土日で13人も生まれて当院始まって以来のことですが、職員も臨時でたくさん駆けつけて、臨戦態勢で望み事故も無く皆さん無事に出産していただきました。とてもおめでたく、私たちも全力をつくすことができて満足しております。
そして、ご本人はもちろん、多くのご家族の方もいらっしゃって皆、この混雑の状況にびっくりされましたが、赤ちゃんに対面してたいへん喜ばれ、そして我々にもお礼のお言葉まで頂戴いたしました。
早急にこの状況は対処するようにいたしますので、なにとぞ今しばらくお許しください。」

外来で分娩をお断りするのと、もう少し値上げして自然に分娩数が減るのを待つのとどちらがいいと思いますか
我々にとっては、後者の方が気が楽であるし、値上げ分分娩が減っても売り上げは減らないので、仕事量も減るし1人の妊婦さんへのケアも増え、事故のリスクも減り理想的な戦略なのであるが、患者さんはそうは思わないであろう、、、。